行政法

◆科目概要

 行政法は地方上級試験における法律系科目の中で最も配点が高い科目であり、国家U種試験においても憲法と同じく受験生は必ず勉強してくる重要科目です。

 分量は憲法よりも多く民法よりも少ないといったところですが、行政法は行政手続法やら行政事件訴訟法やら情報公開法やらの様々な法律を寄せ集めたやや複雑な科目なので、憲法や民法に比べ体系的に捕らえ難く、なんだか勉強しにくく感じることでしょう。

 しかし、行政法も結局は過去問集を潰し込めば勝手に力はついてきます。学習法については下で詳しく述べますが、この科目も条文を読むだけではなかなか頭に入って来ませんので、問題を解きながら行政法に関する各種用語の定義や条文の理解を深めることが、効率的な学習法だと言えます。また、行政法は憲法と同じく判例がものすごく重要です。判例に関する問題が試験でやたらと出るというのもありますが、判例という具体的な事例を意識しながら学習を進めることで、行政法というものをスムーズに理解できるからです。

 なお余談ですが、「行政法」という名前の法律は存在しません。理系出身で初学者の方等でまだ法律という法律を勉強したことのない人は、「?」かもしれませんが、端的に言えば、行政法とは「行政に関する法律の総称」といったところでしょうか。行政法は、民法や刑法のような同系列の法規を組織的に組み立てた成文法規集ではなく、行政の組織や作用に関する無数の法律(地方自治法、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法等々多数)及び判例等から成り立っています。

 実体験ですが、国家U種試験の官庁訪問の際に、とある官庁の面接官から「“六法”を全部言ってみてくれる?」という、法律というものをある程度知っている人間からすればカスみたいな問いかけに対し、私は「憲法、民法、行政法、刑法、商法、労働法ですかね(ニヤリ)」などと、自信満々に答えたという苦すぎる経験がありますので、行政法という法律が無いと言う事実を知った時はマジでショックでしたね。理系出身者における独学の弊害みたいなものでしょうか。

 なお、上記エピソードで「どこが間違えているのかイマイチよくわからない」などという受験生は、Wikipediaかなんかで急いで「六法」を確認すること。


◆お勧め参考書

行政法のまるごと講義生中継 新装版第3版―地方上級・国家2種・国税専門官対応 (TAC on LIVE公務員試験速攻ゼミシリーズ 新装版)(TAC出版/283ページ)


 本書はTACによる衛星講座用に収録した講義をもとに刊行された講義調参考書で、「まるごと講義生中継」シリーズの行政法科目です。問題は載っていません。

 同シリーズの民法に比べれば出来がイマイチと言われたりする本書ですが、ページ数も多過ぎない程度で、初学者の導入本としてはコレが一番オススメです。体系的に学びにくい行政法は、憲法とは違いいきなり過去問集はキツイ。独学+初学であれば、本書は必携。

 競合する参考書としては、憲法ではイチオシだった攻略ゼミシリーズ伊藤塾の「行政法」攻略ゼミ (伊藤真の公務員試験最速到達シリーズ)(189ページ)。既にある程度行政法というものが何なのかわかっている受験生にとって、まる生行政法は「ややくどい」と感じるかもしれません。ざっと基礎を復習するという意味で攻略ゼミにしてもいいかも。

 なお、伊藤塾の公務員試験対策1冊で合格シリーズ〈4〉行政法 (公務員試験対策1冊で合格シリーズ (4))(746ページ)も良書。参考書でもあり過去問も掲載されている親切設計で、国家T種レベルにも対応している本書は網羅性では上記2冊を大きく凌ぎます。しかし地上・国Uレベルではややオーバーワークかと。スー過去による学習を前提に考えるのであれば、746ページは負担が大き過ぎる。国Tを意識しないのであれば、本書は不要です。


◆学習指針

 既に上でしつこく述べたとおり、初学者にとって行政法は「いきなり過去問から」が通用しにくい科目です。上で紹介した導入本を数日間で一気読みして、「行政法ってこんな感じなんだ」というのがぼんやりでもいいから解ればスタートとしては概ねOKでしょう。

 さて、では行政法の過去問集はどれを使えばいいのか?ということですが、これは非常に難しい問題です。行政法に限っては、「これが一番!」と断言できる過去問集が見つからないというのが本音です。スー過去と言いたいところですが、改訂後もスー過去行政法はやはり解説が解りにくい。従って行政法で使用する本及び学習法については、受験生の基本スペックや受験状況によって、下記3パターンを提案いたします。

@完全に初学者+時間に比較的余裕がある人
 まる生→ウォーク問2周→スー過去(受験まで何周もやる)

A完全に初学者+時間がマジで無い
 まる生→スートレ(受験まで何周もやる)

B既学者or法学部or行政法マニア
 いきなりスー過去(受験まで何周もやる)

 まずパターン@です。理系学部出身であるなど、行政法を全く知らない人は、導入本である行政法のまるごと講義生中継(まる生)を読んだ後は公務員試験ウォーク問過去問Quick Master行政法(ウォーク問)を潰すこと。その後新スーパー過去問ゼミ2 行政法(スー過去)に移行してください。公務員試験勉強においては「何冊も問題集を潰すより、1冊の問題集を徹底的に潰すほうがずっと効率的だ」という確固たる主張を公務員試験対策室は持っていますが、地方上級レベルを目指すのであれば、やはりウォーク問のみでは心もとないと言わざるを得ません。かと言って、初学者がいきなりスー過去行政法をやるのは危険です。むしろ遠回りになる恐れがあります(過去問集精選参照)。ですので、時間はかかりますが、行政法を得意科目としたいのであれば、スー過去の前に解説がクドイぐらいのウォーク問を挟んだ方が、地盤がしっかりすることは間違いありません。ここまでやれば合格ラインです。

 次にパターンA。完全に初学者ではあるが、どうしても時間的余裕が無い人は、導入本を読んだ後はもうウォーク問もスー過去のことも忘れてスーパートレーニングプラス行政法(スートレ)をとことんやってください。ウォーク問だけでは足りないし、かと言っていきなりスー過去では自滅必至。となれば、間をとって、解りやすさとそこそこの網羅性を備えるスートレ一本で攻めるのが頭の良い攻め方です。時間が無いんだから、割り切ってくれや

 そして最後にパターンB。法学部出身であったり、行政法に関する知識をある程度備えている人は、いきなりスー過去でいいでしょう。自信のある人は導入本すら必要ありません。知っている人からすれば、ウォーク問は易しい上にクドく感じるかもしれません。スー過去を死ぬまで潰してください。で、さらに余裕があれば、もうワンランク上の問題集を潰せばかなり固いでしょう。 

 過去問集の潰し方は憲法とほぼ同じ要領です。判例集も特に必要ありません。が、判例がとても重要ですから、テキストなり過去問集なりに載っている判例は確実に覚えるよう努力してください。記述試験で行政法を選ぶ可能性がある人や国家T種狙う人は学説の学習も必要ですが、ここでは特に触れません。

 憲法以上に難化が著しい行政法ですが、それゆえにきちんとやった受験生とそうでない受験生でははっきりと差がつきます。結局は演習量がものをいうので、過去問集がボロボロになるまで過去問を潰して、行政法を武器にしましょう。

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