人文科学

◆科目概要

 人文科学は日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術からなり、国家公務員一般職では文学・芸術を除きそれぞれ1問、地方公務員上級では思想以外の各科目から2問前後出題されます。

 一般知能科目(数的処理や文章理解)に比べるとは明らかに配点が低いわけですから、力を入れ過ぎるのも非効率ですが、一般知能で取りこぼすリスクを考えると勉強は避けられません。

 範囲は絶望的に広いのに出題されるのは1〜2問程度。しかもやっかいなことにほぼ必須解答という鬼畜ぶり。受験生の勉強意欲をそぎ落とす科目郡ですが、重要なのは取捨選択。全部学習しようとしたら2万年ぐらいかかるので、捨てる科目はバッサリ捨てて、選択する科目についても頻出分野を重点的に学習するなど、潔さと工夫が重要です。

 「人文科学はどの科目を捨てて、どの科目を選択したらいいのか?」については、まず常識的に考えて大学受験時等に専攻しているかしていないかが第一の判断基準となるでしょう。受験を終えて数年も経つと脳内から知識が吹っ飛んでしまっている諸兄もいるかと思いますが、やったことがあるかないかでは全然違います。そこは皆さん異論はないでしょう。

 次に、自然科学で得点できるかどうか、が第二の判断基準です。極端に言えば、理系の方などで自然科学で十分に得点できる自信がある受験生は、人文科学を5科目中3科目捨てても戦えます。4科目捨てて合格する猛者もいます。逆に自然科学で得点力を確保できない受験生は、人文科学で捨てることのできる科目はせいぜい2科目。捨てる科目についても頻出ポイントだけは押さえるなど、人文科学対策に時間を取られるのはやむを得ません。

 選択例としては、まず範囲が広い日本史、世界史、地理の3科目は、全て学習するのはかなり負担が大きいため、2科目選択が一般的。大学受験時の専攻科目+1科目といった感じですね。

 次に、思想は可能な限り学習すること。思想は国家一般で1問のみ出題というやはりすげぇ捨てたくなる科目ですが、それほど学習時間をかけずとも得点できる科目であることを考えれば、理系・文系を問わず、この科目は学習すべきです。国家一般では日本史や世界史と同様の1問出題なので、時間対効果を考えればおいしい科目だといえます。地方上級専願の人は出題が無いのでもちろん無視でOK。

 そして地方上級で1問出るか出ないかの文学・芸術については、自然科学が絶望的な受験生は要検討ですが、時間が無い人は躊躇せず捨てること。時間対効果が悪い科目です。


◆お勧め参考書


○センター試験 地理Bの点数が面白いほどとれる本(480ページ/中経出版)


 図表やイラストを交えながら、講義口調でセンター試験地理をとことん解説してくれるセンター試験対策用参考書(以下、「面白いほどとれる本」)。2016年に改訂第2版が出て、最新の地理データが掲載されています。

 地理は単なる暗記科目とはやや異なるため、地理的思考力を鍛えるには大学受験用の参考書を使わざるを得ません。本書は480ページと分厚く、公務員試験で出題されない細かい知識も多く含まれていますが、情報を取捨選択して使えば、これほどわかりやすく、地理的思考力を身につけることのできる参考書はいまのところありません。

 練習問題も付いていますが、本書はあくまでテキスト。頻出分野に焦点をあてて、地図帳を片手に本書で地理の勘を培ってから、過去問集で問題演習の繰り返しにより得点力を養いましょう。


○上・中級公務員試験 新・光速マスター 人文科学(254ページ/実務教育出版)


 人文科学全科目が1冊に詰め込まれた要点整理集。公務員試験人文科学の頻出テーマ・事項が厳選され、コンパクトにまとめられています。

 科目別にまとめた1問1答形式の「スコアアタック」で理解度を確認できるほか、重要箇所が一目でわかる2色刷で、赤字を隠して覚える「暗記用フィルムシート」付き。

 本書のような要点整理本は歴史の流れや全体像を把握するには不向きなため、初学者がいきなり本書で人文科学を学習しようとしても、理解が伴わない暗記作業となり非常に非効率です。

 一方で、すでに人文科学の学習がある程度進んで知識が整理されている受験生にとっては、膨大な知識を重要事項に絞ってコンパクトにまとめた本書は、記憶の定着と維持という目的には極めて有用です。

 つまり、本書は公務員試験人文科学対策の最終段階で、知識の整理と復習に使うべきテキスト。結局最後は暗記作業なので、てっとり早く要点確認するのにこの本は最適です。


◆学習指針

○日本史・世界史

 どちらも膨大な知識量を誇る科目です。ところが、公務員試験における歴史科目はある程度出題範囲に傾向があるため、頻出分野に絞って対策するなど、工夫して学習することが可能です。というか工夫しないと試験勉強が破綻します。

 例えば、日本史も世界史も、近代、特に直近150年程度の間の出来事が出題の大部分を占めるため、その範囲を集中的に対策することで、本番で半分程度は正答できる可能性が高いと言えます。受ける公務員試験の頻出ポイントを過去問集等で確認して、そこを重点的に学習しましょう。

 そこで、公務員試験における日本史や世界史の学習は、「まず歴史のおおまかな流れをつかむ→公務員試験過去問集で問題演習→記憶本で知識の維持」がお勧めスタイル。

 歴史のおおまかな流れをつかむ作業には時間をかけられないため、「読むだけですっきりわかる歴史シリーズ(宝島社)」などの気軽に読める本(文庫本です)を時間をかけず一気に読んで、歴史の流れをザッと掴みます。頻出分野に偏りがあるとはいえ、歴史の全体的な流れを把握していないと設問の選択肢を絞ることが困難なので、この作業はやっておくべきです。

 大学受験時にひととおり勉強したことのある受験生であっても、忘れている部分がかなりあると思うので、可能な限り問題集の前にこういった本を読んで、歴史の流れを「思い出し」ましょう。

 次に、問題演習により公務員試験に出る分野を確認し、頭に入れる作業です。使う過去問集は、「スー過去」よりも「クイマス」がお勧め。人文科学の全科目を1冊に詰め込んでいる「スー過去」よりも、「クイマス」のほうが収録問題数も多く、解説が詳しいからです。「クイマス」で何回も復習して、時間の許す限り知識を詰め込みましょう。

 本試験が近づいて来る頃にはかなり知識が定着してきていると思いますが、残り時間が少なくなってくると、過去問集での復習は時間的に非効率になります。ここで、『上・中級公務員試験 新・光速マスター 人文科学』の出番です。暗記した知識の整理と維持のため、本書を使って本番まで要点確認をひたすら繰り返すこと。

 これだけやれば本試験で得点できるようになるとは思いますが、そもそも歴史科目が得意だった人は、もっと労力を抑えることができると思います。いずれにしろ、歴史科目の学習は負担が大きいことは事実なので、捨てる人は捨てる、選択する人はポイントを絞って学習するなど、時間と相談して最小限の労力で対策するようにしましょう。

○地理

 地理の選択は、大学受験時等に専攻した受験生以外はお勧めできません。「地理は底が浅い」などとのたまっている方をみかけますが、浅くありません

 地理の問題を解くにはコツがいります。日本史や世界史に比べれば暗記量は絶対的に少ないのですが、単に用語を暗記しただけでは問題が解けないのは、地理を専攻したことのある受験生なら解るはず。例えば産業の問題を解く際には、その国の位置はもちろん、地形や気候や歴史まで考えなければいけない等、絡み合う知識を総動員して解くのが地理の特徴です。

 単に記憶した知識を吐き出すだけではなく、記憶した知識を用いて「思考する」必要があると言う点が、他の人文科学科目と異なる点です。慣れるまでやや時間がかかるため、安直に選択しないように

 地理を学習するには、大学受験用の参考書がベスト。そして地図帳は必要。地図帳代がもったいないと考える人は地理を選択しないように。

 参考書には「センター試験地理Bの点数が面白いほどとれる本」を使います。時間があれば、本書をきっちり読み終えてから過去問演習に取り組めばよいのですが、余裕がなければ、まず過去問集で頻出論点を確認してから、その分野に絞って「面白いほどとれる本」を読みましょう。

 使う過去問集は、日本史・世界史と同じく「クイマス」です。時間があれば、試験直前期には地図帳を片手に光速マスターで要点整理です。

 地理については以上ですが、記述したとおり、初学者が地理をまともに勉強しようとしたら結構時間がかかります。大学受験時に地理を専攻しており、地理の勘があまり鈍っていない受験生はいきなり過去問演習から始めても問題ないかと思われますが、それ以外の人は参考書で勉強しないといけない分、負担がかかります。

 歴史科目が得意な人は無理に地理に手を出す必要はないですが、自然科学で得点できない場合は勉強せざるを得ないかと思います。慣れてくると急に得点できるようになるので、辛抱強く演習を続けましょう。

○思想、文学・芸術

 これぞ暗記科目です。人物名、著作名、作品名など、キーワードの組み合わせで正誤を問う出題形式が一般的です。国家一般・地上レベルではそれほど難解な出題はされませんが、年によっては思想内容に踏み込んだ出題や知名度の低い人物名・作品名が出たりと、難易度にはバラツキがあります。

 勉強法ですが、理解もナニもありませんので、「光速マスター人文科学」で人物名やキーワードをひたすら覚える作業です。概ね暗記作業が済んだら、「クイマス」の演習で記憶を定着させましょう。

 光速マスターとクイマスさえ押さえておけば、他の受験生に遅れをとることはないので、無理に手を広げずに地道に暗記作業を繰り返しましょう。

 というか、科目概要でも触れたように、国家一般・地方上級では1問出題されるかされないかの、ぶっちゃけほぼどうでもいい科目たちなので、普通は捨てるんじゃないかなぁ・・・。

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