会計学

◆科目概要

 会計学は、選択解答の記述式で出題される東京都を除き、国家一般職および地方上級試験では1問たりとも出題されない科目です。国税専門官と同日に1次試験が実施される財務専門官の専門試験(多肢選択式)でも6問出題がありますが、科目選択式なので避けることが可能です。

 つまり公務員試験における会計学は、ほとんど「8問必須出題の国税専門官試験」のためだけに存在する科目ということです。国税専門官を受験しない、または志望度が最下位の受験生は、勉強する必要性は皆無です。

 一方、本命は他の職種ではあるが、併願先として国税専門官の志望度が高い受験生は、主要科目を十分やり込んで、時間的にかなり余裕がある場合は、学習したほうがいいでしょう。併願受験者においては、いわゆるその程度の科目です。

 逆に、国税を徴収したくて我慢ならねぇなどという国税専門官を第一志望としている受験生は、8問必須の会計学を捨てることは極めてリスキーです。会計学を捨てて合格する受験生も実は結構いるのですが、国税が本命であれば、常識的に考えて勉強しないとダメです。5問は取りに行きたいところです。

 では、会計学はむずかしいのかというと、公務員試験における会計学は、覚える量もそれほど多くなく、難易度は高くないといえます。しかし、会計学は簿記の知識が全般的に要求されるため(特に「仕訳」は簿記の知識が必須)、簿記をまったく知らずに会計学を学習しようとすると、かなり苦しむことになります。

 要求される簿記レベルはおおむね日商簿記検定3〜2級程度なので(1級レベルの出題もありますが、1問程度なので無視しましょう)、日商簿記検定2級程度の知識があれば、公務員試験の会計学はかなり楽に攻略できます。

 ただ、公務員試験の会計学で必要となる簿記の知識は、もっぱら商業簿記の分野であるため、工業簿記やその他試験に不要な範囲も含む日商簿記検定2級を会計学のためだけに事前に取得するというのは、明らかに非効率です。あくまで「公務員試験における会計学」ということを念頭において、簿記の学習について対策しましょう。

 補足ですが、国家専門職の国税専門官試験に合格して国税局に採用された暁には、採用後すぐに埼玉県和光市にある税務大学校和光校舎で約3か月間の専門官基礎研修を受講することになります。

 基礎研修では税法、会計学など、税務職員として必要な知識、教養および技能などを学習することになり、さらに入校時点で日商簿記2級の資格を持っていない人については、4月の入校から2か月後の6月の検定で簿記2級に合格することが強く求められます。

 したがって、国税専門官を本命志望する受験生は、結局採用決定後には必ず会計学や簿記の勉強をしなければならないので、その意味でも公務員試験受験勉強の段階で会計学を勉強しておけば、合格後のアドバンテージにもなります。


◆お勧め参考書

らくらく会計入門―試験対応(週刊住宅新聞社/277ページ)


 「らくらく経済学入門」シリーズでおなじみ、茂木喜久雄氏の本です。

 公務員試験会計学用の参考書としては、この本以外ではTAC編集の公務員Vテキストぐらいしかまともな本が見当たりません。Vテキストはやはり予備校本の宿命か、明らかに独学向きではないので、会計学対策本として心からお勧めすることはできません。

 2008年12月に突如姿を現したらくらく会計入門ですが、内容は秀逸の一言。

 まず本書の全体構成ですが、序盤に会計の全体像を掴むためのコンテンツがあり、その後各章、各テーマ(Unit)ごとに重要論点について学習を進めてゆくといった内容です。1つのテーマを積み重ねることで理解してゆく「プロセス学習」により論点を段階的に学習することができるとともに、1つのテーマについていくつかの論点を並行して同時に学習してゆく「コンテンツ形式」の導入により、体系的かつ効率的に学習を進めることが可能となっています。

 解説は講義口調なので読みやすく、らくらく経済学入門シリーズ同様、グラフや図表が多用されているとともに、各ページのサイドには専門用語の解説や補足説明が載っています。さらに例題や確認問題も豊富に掲載されているため知識や理解度の確認もでき、学習をスムーズに進める上でのこれでもかというほどの安心設計が施されています。

 そして特筆すべき点として、本書は公務員のみならず不動産鑑定士や中小企業診断士の資格受験者にも対応した内容となっておりますが、各テーマごとに各種資格試験ごとの予想出題率と難易度がそれぞれ4段階で表記されているので、公務員試験に出題される論点に絞って学習することができます。

 ちょっと褒め過ぎた感もありますが、本書はまさに会計入門書の決定版。本書を会計学導入時に使ってから実践問題の演習を繰り返すことで、会計学を得意科目にすることができるでしょう。


◆学習指針

 国税専門官の志望度が低い受験生は、会計学はあっさり捨てましょう。負担がデカすぎます。以下は会計学を学習する場合の学習法です。

 日商簿記2級を持っている人やその程度の知識がある人は、過去問演習のみでOKです。一方、簿記の知識がゼロの人は、少なくとも簿記の知識が要求されるテーマについては「いきなり過去問演習」はやめたほうが無難

 公務員試験会計学については、まともな過去問集は「スー過去」ぐらいなので、過去問演習はこの問題集を使うことになります。ただ、「スー過去」会計学は、レジュメについては例に漏れず秀逸なのですが、解説については条文をそのまま載せているだけなど淡白すぎる点に問題があります。特に、簿記の知識が要求される部分(仕訳や財務諸表の分野)については「スー過去」の解説のみでは理解できないことが多く、何も考えずいきなり過去問演習に取りかかると、会計学に心を折られること請け合いです。

 そこで、現在では『らくらく会計入門』という素晴らしい会計入門書があるので、過去問演習の前にまずは本書を使って会計の基本用語や重要論点、全体像をつかみましょう。

 『らくらく会計入門』ではテーマごとに各種資格試験の予想出題率が表示されているので、公務員試験の頻出分野が容易に把握できます。学習の負担を減らすためにも、公務員試験の頻出分野に絞って効率的に学習を進めましょう。

 『らくらく会計入門』を何度か読んで、仕訳を覚え、公務員試験に出題される会計の論点および全体像をつかんだら、次は「スー過去」会計学で過去問演習を繰り返します。事前に『らくらく会計入門』を読むことで、「スー過去」のみの学習より遙かにスムーズに理解が進みます。

 正直にいって、らくらく会計入門でしっかり勉強したら、過去問演習をせずともそこそこ点数は取れるようになると思うのですが、実践問題に慣れるという意味でも「スー過去」での演習を推奨します。

 学習時にも、特に仕訳については、ノートや紙に書きながら、きちんと手を動かして勉強することを心がけてください。

 簿記を勉強したことがない受験生は、会計学は『らくらく会計入門』→「スー過去」で決まりです。

 会計学は学生時代にあまり馴染みのない科目だと思いますが、株式や投資に興味のある人にとっては勉強していて非常におもしろみのある科目なので、余裕があり、国税専門官の志望度がそこそこ高いのであれば、ぜひ学習を検討してみてください。

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