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ミクロ・マクロ経済学

◆科目概要

 国家一般では、専門試験の選択科目としてミクロ経済学とマクロ経済学で5問ずつ2科目、地方上級では経済原論として10問前後必須で出題されます。国家専門の財務専門官では12問必須の「経済学・財政学・経済事情」のうち4問ほど、国税専門官試験でも選択科目として6問出ます。

 ただ、国家一般・専門、地方上級では、経済学を選択しない公務員試験受験生はおそらく財政学も選択できず、そうなるとかなり解答できる科目の幅が狭まるので、一般的な大卒程度公務員試験受験生からすれば、経済学は実質必須科目みたいなものでしょう。

 要するに、公務員試験において経済学という科目は、超重要科目ということです。この科目を捨てるという選択肢は、公務員試験に合格したいのであればまず考えないことです。

 経済学は、解法パターンや公式をただ覚えていれば解ける問題もあれば、なぜそうなるのかを「理解」していないと解けない問題もあるという点で、行政系科目のような暗記科目に比べれば確かに複雑に感じます。数式やグラフ、微分など、文系の人間からすれば聞いただけで拒絶反応を示す要素が満載で、何より出題範囲が広い科目でもあります。

 そういった性格からか、経済学を苦手とする受験生も多いようですが、経済学を苦手とする人は、公務員試験における経済学への認識と学習法が悪いだけ。対策の仕方によって受験生間で大きく差がつきやすい科目でもあり、ゆえに適切な学習法でしっかり対策すれば、試験では他の科目よりも確実に得点できる強力な武器となる科目です。

 また「経済学は予備校に行かないとわからない」といった意見もよく耳にしますが、最近は公務員試験のための経済学の参考書や問題集も市販のものが充実しており、出来も非常によくなっています。したがって、独学でも学習しやすく、むしろ短期間で集中的に学習するのであれば、使う本さえ間違わなければ独学のほうが早い段階で攻略できると思います。


◆お勧め参考書

 さて、お勧めテキストレビューの前に、まず重要事項の確認です。

 公務員試験対策室の見解として、経済学は説明だけの理解本や入門書は必要ありません

 経験則ですが、経済学は、いくら図やグラフを交えながらであっても、ただ説明を読んでいてもつまらないし、なかなか頭に入ってきません。レジュメ等の要点整理を読んで、解法や考え方をざっと確認してから、実際に問題を見て、手を動かして図を描いて、あるいは計算して学習してゆかないと、なかなか頭に残りません。「書いて解き、そして覚える」という理解作業が、経済学では非常に重要なのです

 とは言っても、公務員試験における経済学は学問としての深い理解は必要ありません。例えば、「限界費用MCは、総費用TCを微分すれば求めることができる」訳ですが、では「何故微分することで求めることができるのか?」を知らなくても、このルールを覚えてさえいれば、公務員試験では回答を導くことができる場合があります。

 公務員試験における経済学は、こういった「ルール」や「解法パターン」を機械的に覚えていれば、何だか解けてしまうというケースが多々あります。そしてそのレベルの学習に少し上乗せすることで、合格ラインに達します。

 こういった事実に基づき、公務員試験における経済学の学習本として最もオススメできるのが、新スーパー過去問ゼミです。オススメどころか「絶対使え」という感じです。必修です。

 各テーマごとに、必修問題(例題)→POINT(レジュメ)→実戦問題(過去問)というスー過去おなじみの形式ですが、まず、「必修問題だけやってもそこそこ試験で戦える」という程、収録過去問の選択が素晴らしい。そして何より、図や公式を用いたシステマチックな解法を端的に説明しているレジュメは、数学が苦手な方でも無理なく理解出来るような内容となっています。解説も非常に秀逸で、公務員試験における経済学の問題を解くノウハウが詰め込まれています。

 この「パターン化された公式やルールを用いてゲーム感覚で問題を解く」というコンセプトで作られた「スー過去」を潰すことが、公務員試験経済学攻略の最短距離と言えるでしょう。

 「オイオイ、褒め過ぎだろ。実務教育出版に何か掴まされてんじゃねーの?」などと邪推される方もいらっしゃると思いますが、全くゼロから経済学を学んだ私が言うから間違いねぇ。信じろ。って感じなので、よろしくお願いします。


○試験攻略入門塾 速習!マクロ経済学(371ページ/中央経済社)


○試験攻略入門塾 速習!ミクロ経済学(388ページ/中央経済社)


 さて、「スー過去」経済学について異常な程プッシュした訳ですが、国家公務員一般職・地方公務員上級レベルであれば「スー過去」の活用が最も手っ取り早いというのは確かな事実です。しかし、中にはどうしてもスー過去のシステマチックな解法や解説が気に食わない、頭に入って来ない、理解しないと気が済まないという受験生もいることでしょう。

 そこで、どうしても「いきなりスー過去」に抵抗がある受験生におすすめするのが、「新・経済学入門塾シリーズ」でおなじみ石川秀樹氏著の試験攻略入門塾「速習!ミクロ経済学」「速習!マクロ経済学」です。

 当サイトで以前オススメ本として紹介していた「新・経済学入門シリーズ」は間違いなく良書なのですが、「Tマクロ編」、「Uミクロ編」、「V上級マクロ編」、「W上級ミクロ編」、「X論文マスター編」、「Y計算マスター編」と、冊数が多いため公務員試験対策本としてはどうしても使いにくいという欠点がありました。(「Z難関論点クリア編」という国家総合経済職レベルの本もあります。)

 そこで、そういう受験生の要望に応える形で刊行されたのが、この「速習!ミクロ経済学」と「速習!マクロ経済学」です。例えば「速習!マクロ経済学」は、「新・経済学入門シリーズ」の「Tマクロ編」と「V上級マクロ編」から主要論点を抜き出し、それに「Y計算マスター編」の一部を確認問題として付け加えてまとめられた、まさに「いいとこ取り」な内容となっています。

 「新・経済学入門シリーズ」と同様、2色刷りで豊富な図やグラフを交えながら、読者に「経済学とはどういうものか」を真正面から懇切丁寧に講義調で説明してくれます。確認用として、チャプター毎に国家総合職も含めた各種公務員試験や資格試験の厳選過去問が収録されており、非常に効率的に知識をインプットしやすいつくり。複雑な部分や受験生が難しいと感じる部分については、言葉やアプローチの仕方を変えて繰り返し説明されており、本書はスー過去では得られない「本当の理解」を促してくれます。

 本文周辺には「落とし穴」や「用語」、「補足」、「テクニック」 など、理解しやすいように複数のアイコンが散りばめられており、「理解してもらおう」という著者の熱意が伝わってきます。公務員試験用の経済学導入本として、今のところこれ以上の本は見当たりません。

 ただ、既に述べたように、国家一般レベルの公務員試験における経済学は、答えを導く解法パターンやルールを覚えていれば深い理解無しでも概ね回答を導くことができてしまうため、本書を使わずともスー過去を極めたら十分本試験で戦えます。何より、本書は過去問がそれなりに収録されていますが、それだけでは演習量が足りないため、本書を終えたとしても必ず過去問が豊富に掲載された過去問集をやり込む必要があります。

 そして、速習ミクロ、マクロとも380ページ前後あり、予備校の講座一本分ぐらいのボリュームがあるため、本書を一度通るだけでも結構時間がかかります。

 とは言え、地方公務員上級の経済原論では公式を覚えているだけでは解けない応用問題が数問出題されるのも確かで、難易度の高い問題を解く上で必要な「本当の理解」を身につけていれば、他の受験生より有利であることは間違いありません。

 よって、本試験まで比較的時間に余裕のある受験生は、本書を通して頭を経済学に慣らしてから、「スー過去」に入るというプロセスを踏むことで、穴の無い対策が可能となるでしょう。確実に経済学科目を得点源とすることができます。

 また、国家公務員総合職の経済区分を目指すのであれば、本書は必携。国家総合経済区分の問題をスー過去だけでクリアするのは難しく、本書に加えさらに「新・経済学入門塾」の「Y計算マスター編」や「Z難関論点クリア編」を使うことで、応用問題にも対応できる知識を養うことが必要です。

 さらに、国家総合や東京都T類の記述論文で経済学の選択を考えている方は、「新・経済学入門」の「X論文マスター編」の利用をオススメしますが、やや高度な内容となっております。

 なお補足ですが、この「速習!マクロ経済学」と「速習!ミクロ経済学」のテキストを用いた、石川秀樹氏による無料講義がyoutube等のインターネット動画サイトで閲覧可能。これはなかなか画期的で、本書を購入した受験生はこの無料講義を利用しない手はありませんが、ノートPCしか持っていないような受験生は少し利用しにくいと思うので、デスクトップPC所有で大きめのディスプレイで動画が閲覧できる受験生に特におすすめです。


○試験対応 らくらくマクロ経済学入門 改訂版(週刊住宅新聞社/262ページ)


○試験対応 らくらくミクロ経済学入門 改訂版(週刊住宅新聞社/242ページ)


○試験対応 らくらくミクロ・マクロ経済学入門 計算問題編(週刊住宅新聞社/221ページ)


 「最速はスー過去。」「理解は速習!経済学。」と説明したところですが、「本当の理解の体得にこだわりはしないが、いきなり「スー過去」は抵抗がある」という受験生にとって最適なのが、この「らくらくシリーズ」です。あまり多くの参考書をお勧めするのは、結局どれをやればいいのか混乱を招くおそれがあるため極力避けたいのですが、本書は入門塾に劣らず良書なので、紹介いたします。 

 本書は、図やグラフを豊富に用いて丁寧に話し言葉で経済学の概念や考え方を説明するとともに、簡単な例題による演習で理解を促す、という作りとなっています。純粋な公務員試験用の経済学のテキストではありませんが、その名のとおり入門者にでもストレスなく理解できるように経済学を易しく解説している入門書です。

 かといって経済学入門塾のように「論理的かつ懇切丁寧に説明する」といったような講義調の参考書ではなく、どちらかと言えばスー過去のレジュメを噛み砕いたような内容となっており、故に入門塾ほど「経済学を根本から理解させようとするもの」ではありません。

 しかし本書の非常に丁寧で体系的な説明は、「スー過去では解らなかったがらくらくシリーズで理解することができた」という声もあるほど解り易さでは定評があり、また問題も豊富に掲載されているため、経済学に苦手意識を持つ多くの公務員試験受験生の支持を得ています。 

 ただ、やはり本書もスー過去に比べれは網羅性に欠けるため、本書の後にスー過去を潰す必要があります。スー過去をやる時間が絶対的に無いなど、どうしても時間的制限がある受験生については、らくらくシリーズのマクロ、ミクロと計算問題編をやり込むことで「経済学をしのぐ」という道もありますが、あまりお勧めできません。

 もう一度言いますが、公務員試験対策室としては、経済学はスー過去が必修ですから。スー過去を使わずに試験に臨むのはあまりにもったいないです。

 いずれにしろ、この「らくらくシリーズ」は初学者にとって極めて有用な良書。「スー過去」の前に「速習!経済学」をやるか「らくらくシリーズ」をやるかは好みによりますが、ボリュームがあり文字の詰め込み感がある「速習!経済学」に比べ「らくらくシリーズ」はコンパクトなので、本試験までの時間と相談して使う本を決めましょう。

 なお、上記3冊の他にらくらくミクロ・マクロ経済学入門 記述・論文編―試験対応もあり、東京都T類の記述論文対策レベルでは、「新・経済学入門塾シリーズ」の「X論文マスター編」よりも本書がおすすめです。



◆学習指針

 経済学は「スー過去」を潰せば試験合格レベルに達しますが、いきなり「スー過去」だと苦しい人もいるでしょう。したがって、公務員試験対策室の推奨する学習の進め方は2通りです。

 まず、理系出身で数理系が得意の人や、文型だけど数学も嫌いではなかった人は、迷わずいきなり「スー過去」に取りかかってください。経済学は理論もありますが、図やグラフの理解と計算問題がほとんどです。公務員試験の経済学は数学的な予備知識をそれほど必要としませんが、やはり予備知識があれば理解が早いのも確か。理系の人間からすれば公務員試験経済学の計算など簡単だし、図やグラフを見るのにも慣れています。したがって、理論の理解さえ進めば、あとは楽しくサクサク学習が進みます。

 「スー過去」の使い方としては、まず必修問題を読んだらすぐに解説を読みます。所見ですから問題が解けないのは当たり前ですが、解説を読んだだけでも「ふーん、そうなんだ」と理解できてしまう問題もしばしば。その無駄がなくテクニカルな解説が「スー過去」の素晴らしいところです。

 次に、レジュメはきちんと読んでください。読んでもあまりよくわからないところはとりあえず置いておき、読み終われば早速実戦問題を解きにかかりましょう。

 経済原論は、他の暗記系科目のように「問題を読んですぐに解説を見る」作業をひたすら続けるのではなく、1周目でも「実際に解いてみる」作業が理解を早く進めるうえで重要です。事実、レジュメを1回読んだだけでいきなり解けてしまう問題が多々あります。

 解こうとしているので1周目はある程度時間がかかるのは否めませんが、問題を読んでもまったく解法が頭に浮かばない場合は、すぐに解説を見ること。それが時間を節約するには重要です。

 実戦問題ではレジュメの知識だけでは到底解けない問題がいきなり出てきたりするので、そういったものについてはいつまでも考えるのではなく、素直に解説をいきなり読みましょう。そして解説を読んでも全然わからないものについては、とりあえず置いておき、次に進みましょう。1周終えて全体像がつかめてくることで解けるようになる問題もあります。

 また、問題を解くときは必ずノートを手元に用意し、実際に図やグラフ、計算式を書きながら進めること。そうしないと問題は解けません。特に計算問題の多いミクロ経済学は頭で考えているだけでは解けない問題がほとんどです。

 実戦問題は解いているうちに似たような問題がたくさんあることに気づくと思いますが、1周目は慣れることが大切ですから、文句を言わずやりましょう。そして2周目以降はそういった重複問題は飛ばして効率化を図りましょう。

 「スー過去」が示す解法を使うだけで問題が結構解けてしまい、次第におもしろくなってくるので、分量の割には早く学習が進むと思います。「スー過去」経済学がミクロ、マクロの2冊に分かれているからといって敬遠しないこと。1冊なんてすぐ終わってしまいます。

 また必修問題は確かに優れていますが、それだけでは論点が足りません。必ず実戦問題はきちんとこなしてください。「スー過去」を潰せば、必ず試験で点が取れるようになりますので。

 さて、次に思いっきり文系頭で、経済学にあまり自信のない人も、とりあえずは「スー過去」経済学を手にとってみてください。数テーマほど学習を進めてみて、どうしてもよくわからない場合に、本書お勧めの参考書のいずれかを使いましょう。

 「速習!」か「らくらく」かは、お好みです。どうしても経済学を「理解」しないと気が済まない人は「速習!」を使うべきでしょうが、「らくらく」よりやや時間はかかることでしょう。国家一般、地方上級レベルであれば導入時は「らくらく」シリーズで十分な気がしますが、「速習!」を事前に通したほうが力はつくと思いますし、ネットで無料講義の動画を閲覧できるという点も「速習!」の大きなアドバンテージです。

 書店などで実際に軽く内容を確認し、自分に合いそうなほうを選択してください。いずれにせよ中心は過去問演習ですから、導入本を終えたらすぐに「スー過去」に着手するように。

 なお、国家公務員一般職ではこれだけやればほぼ万全ですが、地方公務員上級の経済原論は、年によってかなりむずかしい問題が数問出ることがあります。そういった難問は解けない人のほうが多いので、それほど気にする必要はないかもしれませんが、解ければ他の受験生に差をつけることもできます。

 したがって、「スー過去」を完璧に理解した後、さらに上乗せしたい受験生は、『出たDATA問』『地方上級過去問500』をこなすことで経済学はほぼ完璧になるでしょう。

 経済学は公務員試験において差がつく科目であり、この科目を攻略すれば公務員試験合格はぐっと近づきます。解けるようになれば非常におもしろい科目ですので、範囲は広いですが、経済学は得意科目にするつもりで、しっかり学習に力を注ぎましょう。

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