ミクロ・マクロ経済学
◆科目概要
国家U種試験では選択科目としてミクロ経済学とマクロ経済学で5問ずつ2科目、地方上級試験では経済原論として必須の10問前後出題されます。
国税専門官試験でも、経済学は選択科目ですが7問出ます。ただ、国税専門官試験で経済学を選択しない受験生はおそらく財政学も選択できず、そうなると英語や情報系科目しか残ってませんので、一般的な受験生からすれば、経済学は実質必須科目みたいなもんでしょう。
要するに、公務員試験においてこの科目は、超重要科目ということです。この科目を捨てるという選択肢は、公務員試験に合格したいのであればまず考えないことです。
経済学は、解法パターンや公式をただ覚えていれば解ける問題もあれば、「なぜそうなるのか?」を「理解」していないと解けない問題もあるという点で、行政系科目のような暗記科目に比べれば確かに複雑に感じます。数式やグラフ、微分など、文系出身者であれば聞いただけで拒絶反応を示す要素が満載なのも確かです。
そういった性格からか、経済学を苦手とする受験生が多いとよく聞きますが、そんな噂は無視しましょう。余計な先入観は学習意欲を妨げます。経済学を苦手とする方は、公務員試験における経済学への認識と学習法が悪いだけ。対策の仕方によって受験生間で大きく差が付きやすい科目でもあり、ゆえに適切な学習法でしっかり対策すれば、試験では他の科目よりも確実に得点できる協力な武器となる科目です。
また「経済学は予備校に行かないとわからない」といった意見もよく耳にしますが、最近は経済学についての参考書も過去問集も市販のものが充実しており、出来も非常にいいです。したがって独学でも学習し易く、むしろ短期間で集中的に学習するのであれば、使う本さえ間違わなければ独学の方が早い段階で攻略できるかもしれません。
◆お勧め参考書
さて、お勧めテキストレビューの前に、まず重要事項の確認です。
公務員試験対策室の見解として、経済学は説明だけの理解本や入門書は必要ありません。
経験則ですが、経済学は、いくら図やグラフを交えながらであっても、ただ説明を読んでいてもつまらないし、なかなか頭に入ってきません。レジュメ等の要点整理を読んで、解法や考え方をざっと確認してから、実際に問題を見て、手を動かして図を描いて、あるいは計算して学習してゆかないと、なかなか頭に残りません。「書いて解き、そして覚える」という理解作業が、経済学では非常に重要なのです
とは言っても、公務員試験における経済学は学問としての深い理解は必要ありません。例えば、「限界費用MCは、総費用TCを微分すれば求めることができる」訳ですが、では「何故微分することで求めることができるのか?」を知らなくても、このルールを覚えてさえいれば、公務員試験では回答を導くことができる場合があります。
公務員試験における経済学は、こういった「ルール」や「解法パターン」を機械的に覚えていれば、何だか解けてしまうというケースが多々あります。そしてそのレベルの学習に少し上乗せすることで、合格ラインに達します。
こういった事実に基づき、公務員試験における経済学の学習本として最もオススメできるのが、新スーパー過去問ゼミ2です。スー過去の経済科目については、オススメどころか「絶対使え」という感じです。必修です。
各テーマごとに、必修問題(例題)→POINT(レジュメ)→実戦問題(過去問)というスー過去おなじみの形式ですが、まず、「必修問題だけやってもそこそこ試験で戦える」という程、問題の選択が素晴らしい。そして何より、図や公式を用いたシステマチックな解法を端的に説明しているレジュメは、数学が苦手な方でも無理なく理解出来るような内容となっています。過去問の解説も非常に秀逸で、公務員試験における経済学の問題を解くノウハウが詰め込まれています。
この「パターン化された公式やルールを用いてゲーム感覚で問題を解く」というコンセプトで作られたスー過去を潰すことが、公務員試験経済学攻略の最短距離と言えるでしょう。
「オイオイ、褒め過ぎだろ。実務教育出版に何か掴まされてんじゃねーの?」などと邪推される方もいらっしゃると思いますが、全くゼロから経済学を学んだ私が言うから間違いねぇ。信じろ。って感じなので、よろしくお願いします。
○試験攻略新経済学入門塾 1 マクロ編 (1)
(255ページ/中央経済社)
○試験攻略新経済学入門塾 2 ミクロ編 (2)
(271ページ/中央経済社)
○試験攻略新経済学入門塾 6 計算マスター編 第2版 (6)
(245ページ/中央経済社)
さて、新スー過去2経済学について異常な程プッシュした訳ですが、国家U種・地方上級レベルであればスー過去が最も手っ取り早いというのは確かな事実です。しかし、中にはどうしてもスー過去のシステマチックな解法や解説が気に食わない、頭に入って来ない、理解しないと気が済まないという受験生がいるのも事実です。
そこで、どうしてもスー過去が「ムズイ。」と感じるようであれば、新・経済学入門シリーズがイチオシです。
このシリーズは、ここで紹介する3冊の他に、試験攻略新経済学入門塾 3 上級マクロ編 (3)(296ページ)と試験攻略新経済学入門塾 4 上級ミクロ編 (4)(199ページ)及び試験攻略新経済学入門塾 5 論文マスター編 第2版 (5)(210ページ)がありますが、マクロ編、ミクロ編、計算マスター編の3冊までが国家U種・地方上級程度のレベルかと思われます。
本書は、公務員試験受験生のみならず企業診断士や公認会計士等からも非常に高い評価を得た「経済学入門塾シリーズ」の新版で、旧版と比較して2色刷りとなり読みやすさが向上したほか、「演習問題が載っていない」という大きな欠点が改善されました。旧版であった論点漏れも改善されパワーアップした本書は、まさに経済学初学者に経済学を「理解」させてくれる最高の入門書と言えます。
豊富な図やグラフを交えながら、読者に「経済学とはどういうものか」を真正面から懇切丁寧に講義調で説明してくれます。複雑な部分や受験生が難しいと感じる部分については、言葉やアプローチの仕方を変えて何度も繰り返し説明されており、読者の視点から書かれた本書はスー過去では得られない「本当の理解」を促してくれます。
しかし既に述べたように、公務員試験における経済学は答えを導く解法パターンやルールを覚えていれば深い理解無しでも概ね回答を導くことができてしまうため、効率性を考えれば、本書がスー過去に劣るのは否めません。何より、新版では要点チェックのための練習問題が追加されましたが、それだけでは演習量が足りないため、本書を終えたとしても必ず過去問が豊富に掲載された過去問集をやり込む必要があります。
とは言え、地方上級試験では公式を覚えているだけでは解けない応用問題が数問出題されるのも確かで、難易度の高い問題を解く上で必要な「本当の理解」を身につけていれば、他の受験生より有利であることは間違いありません。
よって時間があるのであれば、新・経済学入門塾のマクロ編とミクロ編を通して頭を経済学に慣らしてから、新スー過去2に入るというプロセスを踏むことで、穴の無い経済学の学習が可能となるでしょう。なお、入門塾の計算マスター編は、計算問題がどうしても理解できないとか、何故微分をするのか等を本当に理解したい受験生のみが使ってください。
また、国家T種の経済職を目指すのであれば、本書は必携。国Tの問題をスー過去だけでクリアするのは難しく、本書のマクロ編とミクロ編に加え上級マクロ編と上級ミクロ編をマスターすることで、応用問題にも対応できる知識を養うことが必要です。
さらに、記述論文で経済学の選択を考えている方は、本書の論文マスター編 (5)がありますが、やや高度な内容となっております。
○試験対応 らくらくマクロ経済学入門
(週刊住宅新聞社/251ページ)
○試験対応 らくらくミクロ経済学入門
(週刊住宅新聞社/235ページ)
○試験対応 らくらくミクロ・マクロ経済学入門 計算問題編
(週刊住宅新聞社/221ページ)
「最速はスー過去。」「理解は入門塾。」と説明したところですが、「本当の理解の体得にこだわりはしないが、いきなりスーパー過去問ゼミは抵抗がある」という受験生にとって最適なのが、このらくらくシリーズです。あまり多くの参考書をお勧めするのは、結局どれをやればいいのか混乱を招くおそれがあるため極力避けたいのですが、本書は新・経済学入門塾に劣らず良書なので、紹介いたします。
本書は、図やグラフを豊富に用いて丁寧に話し言葉で経済学の概念や考え方を説明するとともに、簡単な例題による演習で理解を促す、という作りとなっています。純粋な公務員試験用の経済学のテキストではありませんが、その名のとおり経済学入門者にでもストレスなく理解できるように経済学を易しく解説している入門書です。
かといって経済学入門塾のように「何度も繰り返し説明する」といったような講義調の参考書ではなく、どちらかと言えばスー過去のレジュメを噛み砕いたような内容となっており、故に入門塾ほど「経済学を根本から理解させようとするもの」ではありません。
しかし本書の非常に丁寧で体系的な説明は、「スー過去では解らなかったがらくらくシリーズで理解することができた」という声もあるほど解り易さでは定評があり、また問題も豊富に掲載されているため、今や公務員試験受験生の間でスタンダードに位置づけられるほど数多くの受験生の支持を得ています。
ただ、やはり本書もスー過去に比べれは網羅性に欠けるため、他の受験生に差を付けるためには、本書の後にスー過去を潰す必要があります。スー過去をやる時間が絶対的に無いなど、どうしても時間的制限がある受験生については、らくらくシリーズのマクロ、ミクロ経済学と計算問題編をやり込むことで「経済学をしのぐ」という道もありますが、あまりお勧めできません。
もう一度言いますが、公務員試験対策室としては、経済学はスー過去が必修ですから。スー過去経済学をやらずに試験に臨むのはあまりにもったいないです。
いずれにしろ、このらくらくシリーズは初学者にとって極めて有用な良書。スー過去の前に新・経済学入門塾をやるからくらくシリーズをやるかは好みによりますが、大判である経済学入門塾に比べコンパクトならくらくシリーズも、経済学の基礎を学習する上では十分な内容となっております。
上記3冊の他にらくらくミクロ・マクロ経済学入門 記述・論文編―試験対応もあり、経済学入門塾シリーズを使わない受験生は、本書でも十分記述論文対策が可能です。
参考書補足
補足というより蛇足ですが、ここで、経済学科目の学習における、受験生の間で知名度の高い2つの参考書について、公務員試験対策室が見解を示しておきます。
まず、TACのまるご講義生中継シリーズの経済学科目。マクロ経済学とミクロ経済学で計6冊あります。
本書はさすがは講義本だけあって完全初学者にも非常に理解しやすい内容となっておりますが、なにぶん量が多過ぎます。同シリーズの他科目同様、レジュメが無く復習しにくいのはもちろんですか、量が多いからそもそも復習する気になれないし、これら理解本を復習する暇があればさっさと過去問演習をひたすら解いた方が絶対効率的です。
したがって、時間的によほど余裕がある受験生ならまだしも、1年程度のスパンで受験勉強を考えているのであれば、本書は使いどころが無いと言わざるを得ません。よってお勧めいたしません。
次に、1週間でマスターする速習経済学(206ページ/日本実業出版社)です。
本書はイエロー本の全身であるオレンジ本で推薦されていた経済学学習用のテキストですが、これを使っても1週間で経済学をマスターするどころか「経済学科目を嫌いになる」ことになりかねません。
各テーマごとに、解説→典型問題→チェック問題の流れで経済学のマスターを図ろうというものですが、いろいろ足りません。話言葉の説明は確かに易しいのですが、レジュメ等の要点整理が無く、説明そのものが体系的で無いため、スムーズに頭に入ってきません。練習問題もレベルが低く、問題の解説も淡白で初学者にはよくわかりません。
読んだところで公務員試験で得点できる力は養成されません。要するに、やるのは時間のムダ。
現在は入手もしにくく使っている受験生も少ないと思いますが、もし本書を経済学の導入本に使おうとしているのであれば、すぐに上記お勧め参考書に切り替えるように。
公務員試験経済学を学習する上で使うべき参考書の選択肢は、経済学入門塾とらくらくシリーズの2種類。公務員試験対策室としてお勧めできるのはこの2種類のみです。
◆学習指針
学習指針というか、もうただのスー過去の宣伝みたいになっちゃってますが、結局経済学はつべこべ言わず黙って新スー過去2やれば得意科目になります。
ただ上でも申しあげましたように、いきなりスー過去だと苦しい人もいます。よって対策室の推奨する学習の進め方は2種類。
まず、理系学部出身等で数理系が得意の人や、「文型だけど、数学も嫌いではなかった」方は、迷わずいきなり新スーパー過去問ゼミ2に取り掛かってください。
経済学は理論もありますが、図やグラフの理解と計算問題がほとんどです。公務員試験の経済学は数学的な予備知識をそれほど必要としませんが、やはり予備知識があれば理解も早いのも確か。数理系の人間からすれば公務員試験の経済学の計算なんて簡単だし、図やグラフを見るのにも慣れています。よって理論の理解さえ進めば後は楽しくサクサク学習が進みます。
スー過去の使い方としては、まず必修問題を読んだらすぐに解説を読みます。所見ですから問題が解けないのは当たり前ですが、解説を読んだだけでも「フーン、そうなんだ」と理解できてしまう問題もしばしば。その無駄がなくテクニカルな解説がスー過去の素晴らしいところです。
次に、レジュメはきちんと読んでください。読んでもあまりよく解らないところは取り敢えず置いといて、読み終われば早速実戦問題を解きにかかりましょう。
経済原論は、他の科目のように「問題を読んですぐに解説を見る」作業をひたすら続けるのではなく、1周目でも「実際に解いてみる」作業が理解を早く進める上で重要です。事実、レジュメを1回読んだだけでいきなり解けてしまう問題が多々あります。
解こうとしているので1周目はある程度時間がかかるのは否めませんが、問題を読んでも全く解法が頭に浮かばない問題は、すぐに解説を見ること。それが時間を節約するには重要です。
実戦問題ではレジュメの知識だけでは到底解けない問題がいきなり出てきたりするので、そういったものについてはいつまでも考えるのではなく素直に解説をいきなり読みましょう。(例えばミクロの複占におけるベルトラン均衡など、見たことのない論点が突如現れてビビることもよくあるが、解説を読めば解るので問題なし)
そして解説を読んでも全然解らないものについては、取り敢えずほっといて次に進みましょう。1周終えて全体像がつかめてくることで解けるようになる問題もあります。
また、文章問題については正文化してもいいかもしれませんが、計算問題について正文化は無意味。基本的に経済原論には正文化は馴染まないかと思われます。ただ、問題を解く時は必ずノートを手元に用意し、実際に図やグラフ、計算式を書きながら進めること。というか、そうしないと問題は解けません。経済学は頭で考えているだけでは解けない問題がほとんどです。
実戦問題は解いているうちに似たような問題がたくさんあることに気付くと思いますが、1周目は慣れることが大切ですから、文句を言わずやりましょう。そして2周目以降はそういった重複問題は飛ばして効率化を図りましょう。
スー過去経済学の使い方は以上です。スー過去が示す解法を使うだけで問題が結構解けてしまい、次第におもしろくなってくるので、分量の割には早く学習が進むことに気付くかと思います。よってスー過去経済学がミクロ、マクロの2冊に分かれているからといって、敬遠しないこと。1冊なんてすぐ終わっちゃいます。
また必修問題は確かに優れていますが、それだけでは論点が足りません。必ず実戦問題はきちんとこなしてください。スー過去経済学を潰せば必ず試験で点が取れるようになりますので。
さて、次に思いっきり文型頭の人などで、経済学にあまり自身の無い人も、取り敢えずはスー過去経済学を手にとってみてください。数テーマ見てみてどうしてもよくわからない場合に、上記お勧め参考書のいずれかを使いましょう。
経済学入門塾からくらくシリーズかは、お好みです。どうしても「経済学を理解」しないと気が済まない方は経済学入門塾を使うべきでしょうが、らくらくシリーズよりやや時間はかかることでしょう。国家U種、地方上級レベルであれば導入時はらくらくシリーズで十分な気がしますが、経済学入門塾を事前に通した方が、力は付くと思います。
書店等で実際に軽く内容を確認し、比べてみて、自分に合いそうな方を選択してみてください。いずれにせよ中心は過去問演習ですから、導入本を終えたらすぐにスー過去に着手するように。
なお、国家U種試験ではこれだけやればほぼ万全ですが、地方上級試験の経済原論は、年によってかなり難しい問題が数問出ることがあります。そういった難問は解けない人の方が多いので、それほど気にする必要はないかもしれませんが、解ければ他の受験生に差を付けることもできます。
したがって、スー過去を完璧に理解した等、さらに上乗せしたい受験生は、過去DASH!(TAC出版)や出たDATA問(七賢出版)を潰すことで経済学はほぼ完璧になるでしょう。
経済学は試験で差が付く科目であり、故に経済学を攻略すれば合格はぐっと近づきます。経済学はなんだかんだ言ってカネ(マネー)に関する学問です。お金が嫌いな人はまずいないでしょうから、お金のことを考えながら楽しく学習しましょう。解けるようになれば非常におもしろい科目ですので、範囲は広いですが、経済学はしのぎではなく得意科目にするつもりで、しっかり学習に力を注ぎましょう。
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