憲法

◆科目概要

 公務員試験で出題される憲法は、大きく憲法総論、人権、統治機構の3分野に分けることができます。条文の出題が中心となる暗記要素の強い統治機構の分野に比べ、人権の分野は判例の結論のみならず、その結論に至るまでの経緯や表現について細かく出題される傾向が強いため、理解力も要求されます。

 憲法は他の法律科目に比べ条文数も覚える量も少なく、出題範囲もある程度絞られてくるので、非常に学習しやすく公務員試験での得点源とすべき最重要科目です。ただし、その分どの受験生もある程度得点してくる科目なので、憲法で差はつきにくく、したがって憲法で大きくミスすることは致命的です。そして得点源とすべき科目ではありますが、決して簡単な科目ではありません。

 多くの公務員試験受験生が対策してくる科目ですから必然的に出題レベルも高くなる傾向があり、実際に近年の公務員試験における憲法は難易度の上昇が著しく、判例の結論や数字を覚えているだけでは対応できなくなってきました。

 国家一般職では国家総合職と出題傾向が似てきており、空欄補充問題や正しいものの組み合わせを選ばせる問題や、「むしろ国語力の問題じゃねーか」などと思われるような読解力を要する設問が一般的になってきています。

 さらに、司法試験の択一式設問のような、論理力を要求される難解な問題も出題されつつあります。ただ、これらも出題形式が変わっただけで必要な知識は従来と大差ないので、特別な対策は必要ありません。過去問演習をしっかりこなしていれば、自然とこれらの出題に対応できる力はついてきます。


◆お勧め参考書

○伊藤真の憲法入門―講義再現版(日本評論社)


 伊藤講師による講義調参考書。2014年に5年ぶりの改訂。公務員試験専用の参考書ではなく、問題も載っていませんが、憲法初学者にとっての入門書としては群を抜いてわかりやすいと評判です。

 難解な法律専門用語を極力使わず、口語体で、憲法の要点がやさしく、かつ論理的に説明されています。242ページと分量も適度であるため、初めて法律を学ぶ人でも短期間で一気に読み切ることができます。

 憲法に限らず、法律科目は「全体像の把握→個々の論点の理解」という流れで学習するのが、体系的理解を身につけるうえで有効です。そういう意味で、憲法の全体像と要点を短期間で把握できる本書は、公務員試験勉強においても非常に有用です。メインは問題演習なので、本書は学習初期に2日間以内に一気に通読するというのが正しい使い方です。

 ただし、公務員試験の憲法は、参考書を読まずにいきなりレジュメ付きの過去問集から勉強を初めてもまず問題ありません。導入時に参考書を読めば確かに過去問演習にもスムーズに取り掛かれるでしょうが、「スー過去」などレジュメが優れている公務員試験過去問集を使えば、それほど影響はないと思います。

 したがって本書も、時間のある受験生や導入時に不安がある人が過去問演習前に読むか、過去問演習後に再度全体像を把握する目的で利用するなど、最低限の利用に留めておくべきです。

 競合する参考書としては、郷原豊茂の憲法まるごと講義生中継がありますが、国家一般・地方上級レベルでは本書で十分です。


◆学習指針

 憲法の学習指針としては、すでに述べたように、原則としていきなり過去問集から初めて構いません。法学部出身に限らず、理系出身の人間でまったくのゼロからでも、過去問集から始めて十分理解できるかと思います。

 これは憲法が簡単だからというよりも(憲法は実際ものすごく奥が深い法典です)、公務員試験レベルにおいて、条文が多く複雑で根本的な理解が必要な民法などの科目とは違い、暗記部分が多く、理解が必要な部分が少ない科目であるからだといえます。

 憲法は基本は暗記です。総論や人権では過去問に出てくる重要な判例を覚えて、国会や裁判所などの統治機構の分野は、その機関の決まりや権能について覚えればよいのです。学説を問う難解な設問が出題される場合がありますが、そういう難問に対する受験生の正答率は低いので、それほど気にする必要はありません。

 あとは設問の意味や選択肢の内容を理解する国語力が要求されるわけですが、それも問題演習を繰り返すことにより身についてきますし、公務員試験独特の言い回しや誤答を落とすコツも自然にわかってきます。もちろん、その域に達するまでにはかなりの問題演習が必要になりますが、得点源とすべき憲法はそれぐらいやって当然だといえます。

 さて、憲法はいきなり過去問集から始めてよいと述べましたが、その場合は参考書を通さない分、レジュメなどの要点まとめ部分が付いている問題集を使う必要があります。

 使う過去問集は「スー過去」が一押しです。本書は各テーマごとのレジュメ部分が最高によい出来で、スッキリしたレジュメにはそのテーマの重要ポイントが見事にまとめられており、収録されている過去問がその重要ポイントに直接絡んでいるので、学習効果が一層高まります。

 「スー過去」の使い方としては、1周目はレジュメ部分をザッと一読し、問題に取り掛かります。といっても、問題を解きにかかってはいけません

 1周目はあくまで科目の概要をつかむことを目的として、設問と選択肢を全部読んで「これが正解じゃないかなぁ」などとちょっと考えてから(ここが重要。いきなり解答を読んでも「へぇ〜」で終わってしまい、頭に残らない恐れがある)、すぐに解答を見ます。そして解説を読み、重要だなと思うところは解説の部分にマーカーをひくなどしましょう。手を動かすことで印象を強くなります。

 どうしてもわからない部分は無視して前へ進むこと。1周目にはわからなくとも2周目以降には頭のなかで整理されてきて、案外あっさり理解できたりします。

 1周目はとにかくひととおり全部終えて、その科目の概略をつかむことに専念しましょう。これは憲法にだけいえることではなく、公務員試験勉強は最初にまずざっと全体的な流れをつかむことが効率的な学習を行ううえで非常に重要な作業なのです。

 なお、「スー過去」の実戦問題の設問番号の上に表示された「*」マークは、その問題の難易度を表しますが、最も難易度の高い「***」マークの問題は1周目については飛ばしてもかまいません。マジで難しいので、イラついて学習効率を低下させるリスクがあります。ひととおり終えてから挑戦すれば十分で、またそのほうが頭に残ります。

 最後に収録されている総合問題については、1周目は触らず、2周目以降の力試しとして解いてみてもよいと思います。

 2周目も1週目と基本的にやることは同じですが、今度は1周目に飛ばした問題も含めてすべての問題を飛ばさずに理解する努力をしましょう。2周目でもわからなかった問題には印を付けておくなど、復習しやすいようにしておくこと。

 3周目に入る頃には参考書を読むかのようにスムーズに問題集を読み進めていくことになりますが、そこまで来ればしめたものです。個人差はありますが、3周やれば模試でもかなり高得点を狙うことができるようになり、それはすなわち公務員試験本番でもある程度通用するレベルに達したということになります。

 公務員試験用の判例集も必要ありません。「スー過去」に収録されている判例を覚えればそれで十分です。問題演習中に疑問に思った部分や気になった部分を確認するために利用すると言った目的で、参考書や判例集を持っておくというのも手ですが、時間が無い公務員受験生は過去問集に手がいっぱいで、買っても恐らくそれらを使うことなく試験に突入することになるでしょう(実体験ですが)。

 余裕がある受験生は、「スー過去」に飽きたら、「出たDATA問」など、もうワンランク上の過去問集に移るとよいでしょう。難易度は高いですが、難化が著しい憲法ですからとことんやるに越したことはありません。

 近年難化しているとはいえ、公務員試験の憲法は頻出ポイントを押さえて十分に演習量をこなすことで、満点を狙える科目です。学習法も過去問演習を繰り返すといった至ってシンプルなやり方なので、他の公務員試験受験生に差をつけられないように要領よく学習しましょう。

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