教養論文

◆科目概要

 教養論文とは、少子高齢化や環境問題等社会問題に関すること、また地方財政や地方分権等行政一般に関することなど、主に時事関連の話題について見解や説明を求められる記述論文試験です。国税専門官や労働基準監督官等を除く多くの大卒程度公務員試験で課されます。

 字数は公務員試験種によって800字〜1600字程度と幅広いですが、概ね1200字程度の論文を想定して対策しておくと、どの試験種でも対応できるかと思います。

 試験時間も自治体によってばらつきはありますが、60分〜90分ぐらいが目安です。

 教養論文は、東京都や特別区、国家一般職(行政)等では一次で課される一方で、多くの地方公務員上級試験では二次で課されます。

 原則として、一次試験で課される場合は一次合格に影響する一方で、二次試験で課される場合は最終合格者決定時のみに適用されるということになります。ただ国家公務員一般職については、論文試験は一次試験合格者の決定には影響せず、あくまで最終合格者決定の際に評定されます。

 国家公務員一般職では以前は合否判定のみに使われていた論文試験も、平成18年度から得点化されました。といっても、平成26年度現在で配点比率は1/9とされており、多肢選択式できっちり得点すれば、足きりラインをかわす程度の無難な論文が書ければ概ね問題ないでしょう。

 一方、地方公務員上級については、配点比率を公表している自治体を見ても、教養論文の配点は非常に高い傾向にあり、東京都や特別区に至っては択一式を上回るほど高い配点比率を誇るようです。これら論文の比重が極めて大きいような試験では、他の受験生に差をつける答案を書かなければなりません。

 論文の記述には、知識や構成力はもちろん、ある程度の発想力や表現力が要求される訳ですが、発想力や表現力というものは一朝一夕で身に付く能力では無いため、文章作成が苦手な受験生はそこに不安を感じるのだと思います。

 しかし、公務員試験の教養論文において、高度な発想力や表現力は必要ありません。

 公務員試験で出題される教養論文は、もちろん受ける自治体独自のテーマが出題されることもありますが、ある程度頻出テーマが決まっています。

 その頻出テーマもせいぜい20テーマぐらいで、既に社会的にかなり議論されている話題がほとんどであるため、そのテーマに関する発想なんてものは、必然的に限られてくるのです。

 要するに、課題に対して自分で新たな発想を生み出す余地はあまり無いし、出題者もそこまで受験生に要求しておりません(もちろん、評価されそうな独自の発想を取り入れた論文の方が高得点は狙えますが)。

 表現力も、文学小説を書く訳ではないので特別な才能は必要ありません。課題に対する主張を明確かつ正確に記述することができれば、それで十分です。

 そこで、公務員試験における教養論文の審査項目は公表されてはいませんが、評価される重要ポイントを大雑把に見ると、

 @ 記述されている内容が正しいか。
 A 主張が明確で、かつ論理的であるか。
 B 論文としての体裁が整っているか。
 C 文字数が適切か。

 といったところでしょうか。

 @についてはそのままの意味で、論述されている知識、内容に間違いがないか、という点です。当たり前ですが、嘘を書くと思いっきり減点されます

 Aについては、主張が首尾一貫しており明確であるか。そして、接続詞が適切に使われており、論文の基本構造である「序論」(定義、背景、問題提起)・「本論」(論証、具体的展開)・「結論」(意見、見解、まとめ)の組立てのように、論理的な文章構成になっているか、といったところです。

 Bは、誤字脱字の有無や段落構成など、文章を書く上での最低限のルールが守られているか、という点です。いかに主張が秀逸でも、誤字脱字が多すぎたり、「え?アラビア文字?」っていうぐらいそもそも解読不能なほど字が汚かったりすると、採点者の印象は最悪です。

 Cも論文の体裁といえば体裁なのですが、文字制限を守ることはこれこそ記述論文の絶対ルールです。できる限り制限文字数に近い方がいいことは言うまでもないですが、8割以上書くことが最低条件です。
 ちなみに、制限文字数を超えることはもっとダメです。「質より量だぜ!」などと制限文字数を超えて解答用紙の裏にまで書いてしまったりすると、落ちます
 論文試験では限られた時間内に限られた文字数で収める能力も問われているからです。

 要注意ポイントはこんなところですが、何の対策もせずにこれらの項目をクリアするのは困難です。予備校や有用な参考書の利用で、短期間で合格レベルまで持っていくことは十分可能ですので、ここで記述する学習法を参考に、他の受験生に差を付ける教養論文の攻略法を身に着けましょう。


◆お勧め参考書

○1週間で書ける!公務員合格作文(三修社/176ページ)


 「平成の資格王」こと中村一樹氏著の公務員試験教養論文対策本。「論文が苦手な人でも合格レベルの答案が書けるようになる」とのコンセプトで書かれている本書は、多くの受験生から高い評価を得ています。

 第1編「文の形式をととのえる」、第2編「文の内容を練り上げる」、第3編「実践技術を身につける」の3部構成をとっており、第1・2編では論文の書き方について、第3編では近年の論文頻出テーマ20題の論点整理と解答例について、端的かつわかりやすく解説されています。

 論文を作成する上で最低限知っておくべきルールが確認できるとともに、頻出テーマについての重要論点を把握することができます。

 分量も適切なので、短期間で教養論文作成のノウハウを掴むには最適な一冊です。


○地方上級・国家一般職[大卒]・市役所上・中級 論文試験 頻出テーマのまとめ方 2015年度(実務教育出版/285ページ)


 上記「1週間で書ける!公務員合格作文」とともに、合格水準にある受験生はみんな持っていると言ってもいいほど、今や公務員試験受験生の間では定番となった教養論文対策本です。

 巻頭には自治体別過去数年間の出題例一覧が記載されており、かつ毎年改訂されるため(年度の変わり目頃に出版されます)最新の時事テーマにも対応していることから、受ける試験の論文の出題傾向を把握し、出題テーマを予想するには欠かせない本であると言えます。

 21の頻出テーマについて、各テーマの出題例と答案例のみならず、そのテーマの背景や問題点等関連する基礎知識について詳細に解説されており、本書を読み込むことで、時事知識がほとんど無い人でも答案を書けるようになるほど、内容は非常に充実しております。

 しかし、1テーマあたりの情報量が豊富過ぎるため、試験直前に本書を購入したとしても、全部読み終えることなく本試験に突入してしまうこと請け合いです。

 したがって、本書は教養論文対策のなるべく早い段階で手に入れ、時事知識の蓄積のために使うか、ある程度教養論文の準備が進んでから、出題予想したテーマの知識補充用として使用する、というのが正しい使い方です。



◆学習指針

 教養論文そのものの対策開始時期は、本試験1ヶ月前ぐらいで十分間に合いますが、教養論文を書く上での重要な土台となる「時事に関する知識」は、公務員試験勉強開始初期から常に蓄積するよう心掛けてください。

 教養論文対策に必要な事項を順に見てゆきます。

@時事の知識を身につける。

 教養論文にしろ専門記述にしろ、合格答案を書くために必要となる最も重要な要素の一つが、課題に対する「正確な知識」です。

 正確な知識は論文における自らの主張の根拠を示す上で不可欠であり、文章に明快さと説得力を持たせることができます。

 そして、教養論文で出題されるのは、ほぼ全てが時事に関するテーマです。

 日頃から世間の流れに敏感で、テレビやネットに流れる様々な時事話題に対して常に問題意識と自分の意見を持つ習慣がある受験生にとっては、少なくとも知識の点で教養論文に悩まされることは少ないでしょう。

 知識なんてものはある程度の水準に達するまでに時間がかかるものです。

 試験直前に時事知識を詰め込む作戦は、可能ですが負担が大きいので、択一式時事対策の際に教養論文のことを念頭におきつつ学習するとともに、新聞や書籍、インターネットにより普段から可能な限り時事情報を収集、分析するよう心掛けてください。

 択一式時事対策→教養論文対策→面接対策といったように、教養論文のために身に着けた時事の知識はまた、面接対策にもなるので。

A論文の書き方のルールを身につける。

 いわゆる文章の体裁を整えるということですが、論文を書く上で最低限必要なルールというものがあります。

 誤字脱字に気をつけることはもちろん、文体の統一や句読点・カッコの位置、数字の書き方、字数制限(8割以上10割以下)など、合格答案を作成する上での最低限守るべきルールは、事前に必ず確認しておきましょう。

B受ける試験の過去の論文出題テーマを把握する。

 頻出テーマはせいぜい20テーマ程度ですが、特に地方公務員上級試験ではそれぞれの自治体で出題傾向が異なります。

 志望先の試験において過去にどのようなテーマが出題されているのかを確認し、その傾向を踏まえてピックアップした出題予想テーマを中心に、対策を進めましょう。

C実際に書いて、第三者に見てもらう。

 記述論文対策において、頻出テーマを全て自力で書きながら覚えるという学習法は、時間対効果を考えると極めて非効率です。

 しかし、ある程度学習してから自力で書いた論文を第三者に見てもらい、客観的に評価してもらうという行為は、論文のクオリティ向上の点から見て非常に有効です。

 もちろん、本試験同様に制限時間内で書いたものを見てもらわないと意味がありません。

 よって、何回も実際に書いて誰かに見てもらう必要はありませんが、本試験までに最低1、2回ぐらいは予備校の模試等で教養論文試験を実際に体験し、採点、添削してもらうことをお勧めします。

D学習法まとめ

 教養論文の学習法まとめですが、@〜Bは上記お勧め参考書を使うことで概ねクリアできます。

 「1週間で書ける合格作文」を読み込んで論文作成のノウハウと頻出テーマの重要論点を身につけてから、「論文試験頻出テーマのまとめ方」で受ける公務員試験種の出題テーマの傾向を掴み、最新の時事知識の蓄積を図りましょう。

 最後にC、予備校の模試等で本試験のシミュレーションをすれば、それで教養論文対策は完璧です。

 なお、論文の配点比率が高い公務員試験を受ける場合は特に、暗記した参考書等の教養論文答案例を本試験でそのまま書くという行為はやめましょう。

 ある程度の独自性を文章内容に持たせないと、高得点は期待できないからです。

 あくまで頻出テーマに関する重要論点・キーワードを記憶し、それらを自分の言葉でつなぎ合わせて論理的な文章構成で論文を書けるように準備してください。

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