アルテ室長:
8月31日。とうとう政権交代となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
クラフト副室長:
明日最終合格発表がある地方公務員上級受験者は、それどころじゃない人も多いんじゃないでしょうか。「政権交代なんてどうでもいい!まずは俺が公務員になれるかなれないかだ!」みたいな。
ファーバー主事:
でも、公務員にとってこの政権交代はかなり他人事じゃないので、合格者はもちろん受験生も真剣に捉えるべき現実ですよ。現職公務員のボクとしては、マジで日本どうなっちゃうのか怖いですもん。ぶっちゃけ一番怖いのは自分の待遇面ですけど。
アルテ室長:
まぁ、民主党のマニフェスト見ると、公務員にとったら「!?」みたいなものも盛りだくさんだからね。まぁ、ファーバー主事、ガンバ!
さて、8月21日(金)に既に大卒程度公務員試験の多くが最終合格発表されていますが、同日に平均点等も国家公務員採用試験情報ナビにて公表されているので、本日はそいつを軽く分析してみましょう。
全職種を分析するような時間もバイタリティも無いので、今回は国家2種の行政区分の結果についてワイワイ言いたいと思います。
なお、本会議の記事を読む前に、第22回―国家公務員Ⅱ種試験を終えた人たちへーの記事を読むと、よりスムースに今回の記事を読んでいただけると思います。
ファーバー主事:
えー、まずは平成21年度 国家公務員採用Ⅱ種試験の合格点及び平均点等一覧を見ていただくとわかると思いますが、行政近畿の点数が圧倒的ですね。
クラフト副室長:
第1次試験の合格ボーダーラインを比較すると、最高の行政近畿(470点)と最低の行政四国(419点)で51点もの差があるんだね。
一方最終合格点のボーダーを比較すると、最高の行政近畿(634点)と最低の行政沖縄(549点)で85点の差。
もうどうしても国家公務員Ⅱ種試験に合格したい人は、沖縄で受けろといいたいぐらいの差だね。
アルテ室長:
いや、点数で見ると確かにものすごい大きな差のように見えるけど、実際、素点でみるとどのぐらいの差なの?この点数ってあくまで標準点なんだよね?いったい配点の何割ぐらいとったら合格できるのかとか、いまいち判りにくいんだけど。
ファーバー主事:
そうですね。そしたら、素点(標準点に変換する前のそのままの得点)で見て各試験種目において何点ぐらい得点すれば合格できるのか見てみましょう。
平成21年度平均点等一覧と平成21年度の合格者決定方法から、最終合格点は下記のようにして導けます。
- 教養択一標準点:X=10×2/8×{15×(x-25.115)/6.404+50}・・・①
- 専門択一標準点:Y=10×4/8×{15×(y-19.379)/7.321+50}・・・②
- 論文試験標準点:Z=10×1/8×{15×(z-4.063)/0.85+50}・・・③
- 人物試験標準点:P:(A評価:107 B評価:83 C評価:57 D評価:31)
- 第1次試験合格点=(X+Y)
- 最終合格点=(X+Y+Z+P)
- (x,y,z:各試験種目の素点、16≦x≦45、15≦y≦40、3≦z≦6)
なお、各試験種目の基準点は教養択一が16点、専門択一が15点、論文試験が3点となっており、各試験種目のどれか一つでもこれらの点数を下回ると足きり不合格となります。
また、人物試験においてE判定の人は筆記の得点にかかわらず即不合格です。
例えば、教養択一で6割の27点、専門択一で7割の28点、論文試験で約7割の4点、人物試験でC評価だった場合、X=136.04、Y=338.32、Z=61.11、P=57となり、第一次試験合格点が474.36点、最終合格点が592.47点となります。この場合だとどの地域区分でも1次試験は突破できますが、行政近畿、行政中国、行政九州では最終合格できませんね。
電卓かエクセルでも使って計算してみてください。
クラフト副室長:
筆記の全てで7割得点したとしても、人物試験でC評価だったら行政近畿は最終合格できないということになるね。近畿レベル高ぇー。
アルテ室長:
で、地域区分別の点数差はどれぐらいの差を意味するの?上の式だけじゃまだよくわからないんだけど。
ファーバー主事:
①式を微分すると、ΔX=10×2/8×15/6.404×Δxになりますよね。
この式にΔx=1を代入すると、ΔX=5.855...になります。
これはつまり、教養試験(多肢選択式)の素点が1点増えると、標準点は約5.86点増えるということを表しています。
このことから、教養試験(多肢選択式)での素点1点は、標準点では約5.86点の重さを持つことがわかります。
同様にして、②式からΔY=10.24...、③式からΔZ=22.05...というのが導かれますので、まとめると、
- 教養択一の素点1点=標準点5.86点
- 専門択一の素点1点=標準点10.2点
- 論文試験の素点1点=標準点22.1点
程度の重さがあることがわかりますね。
よって、標準点で51点差だと教養択一で約9問、専門択一だと約5問ほどの差になります。
85点差だと教養択一で約15問、専門択一だと8問以上の差になりますから、これは大変な差ですよ。
アルテ室長:
微分うんぬんの話はよくわかんないから無視するとして、とにかく地域区分によってかなりヤバイ差があるということだね。前年度の結果を見ても、近畿、九州はガチでレベル高いね。ここで戦う受験生がホント不憫でならない。
クラフト副室長:
区分別実施結果を見ると、九州は倍率の高さがボーダーラインを上げている最大の要因でしょうね。まぁこの結果表だと申込者数しかわからなくて実際の受験者数は把握できないから、実質的な倍率はわからないけど。
アルテ室長:
いや、それだと沖縄の倍率の高さとボーダーの低さの説明がつかないよ。
クラフト副室長:
あ、ホントだ。
ファーバー主事:
まぁ、この差の要因を一つに求めるのは無理がありますね。都市と田舎の違いやその地域の景気状況等も影響しているでしょうし。まぁ、一番の要因はやはり受験倍率と受験生の質だとは思いますが。
アルテ室長:
一つ言えることは、受験する区分はすげぇ慎重に選択する必要があるということだね。
クラフト副室長:
あと、思いのほか論文試験の1点が重いね。
ファーバー主事:
重いですね。ただ、受験者の得点のばらつき具合を示す指標である標準偏差が0.85と小さい値となっていることから、受験者の得点が平均点近くに多く分布している、つまり論文試験では受験者間であまり差が付いていないことが判ります。
合格者のほとんどは3点や4点じゃないでしょうか。
クラフト副室長:
人物試験では、A評価はC評価の倍ほどの得点があるんだね。その差は専門択一5問程度の重みがあるわけだから、人物試験で大逆転が狙える可能性を考えると、第1次試験がボーダーギリギリの受験生も決して諦めてはならないということが再確認できるね。
ただ、人物試験では受験者の大多数がC評価というのが現実で、B評価やA評価はかなり少数みたい。
だからやっぱり、筆記試験できっちり得点することが、最終合格への一番確実な方法だということだね。
ファーバー主事:
最終合格については、その通りですね。ただ国2の場合、本当の勝負は官庁訪問にありますからね。圧倒的高得点で最終合格したとしても、官庁から内定を貰えなければ不合格と大差ないですから。
アルテ室長:
今さらだけど、公務員になるのって、簡単じゃないんだね。
クラフト副室長:
民主党はさらに公務員の人件費を削減するつもりみたいですからね。定数もさらに減って、受験倍率と合格点ボーダーラインはさらに上昇していくんじゃないでしょうか。
アルテ室長:
ただ、業務量が減らないのに公務員の数が減って仕事がより忙しくなって、さらに給料も減らされて・・・公務員の魅力がものすごい勢いで薄れていく中、公務員志望者数が減って倍率はそれほど上がらないんじゃないの。むしろ。
ファーバー主事:
ボクはそれを一番危惧しているんですよ。仕事は大変なのに給料は低いような仕事に、苦労してまで積極的に就こうと思う人なんてドMでも無い限りいないでしょ。このままだと、能力の高い人材はどんどん民間に流れていってしまいますよ。
アルテ室長:
でも国民は、待遇面が悪かろうと、給料が低かろうと、それでも国民のために頑張るといった姿勢の公務員を求めているんだけどね。ボランティア精神溢れる人材を。
クラフト副室長:
そんな人間、どれぐらいいるんでしょうかね。天然記念物クラスでしょ。
ファーバー主事:
もちろん安定性や待遇面だけを求めて公務員になるような人材は必要無いし、国民や市民も許さないでしょう。ただ、「頑張ろう!」と思える程度のモチベーションを保つためには、ある程度の水準で対価が必要だと思います。
何より、公務員の仕事って、そんなに軽いもんでしょうか?簡単な仕事もありますが、非常に複雑な業務もたくさんあります。当たり前ですが。
クラフト副室長:
少なくとも、「行政」という国民や市民の生活に直接影響するような業務を行う公務員が、ボランティア精神はあるけれど法的判断も予算管理もできないアレな人間ばっかりだったら、それこそ日本は潰れてしまうからね。
アルテ室長:
うーん、まぁ、そういうことを理解してくれる国民がどれほどいるかだよね。所詮人間は自己中心的な生き物なのだから。もちろん私も含めてね。
ファーバー主事:
すみません、この辺でこの話は終わりにしましょう。これ以上議論になると、アンチ公務員の人たちからウイルスメールが送られてきそうですからね。
クラフト副室長:
民間も大変だけど、このご時世、公務員も結構大変だね。
アルテ室長:
さて、若干話が逸れたけど、国家公務員Ⅱ種行政区分の試験において、合格するにはどれぐらいの得点が必要なのか、また地域区分によってどの程度差があるのか、だいたい解っていただけたでしょうか。この実施結果からは他にもいろいろな事実が見えてくると思うので、余裕があれば受験生のみんなも是非分析してみてください。
何か間違い等あればお手数ですがご連絡いただきますようお願いします。第27回はこれにて終了いたします。
終
2009/9/12追記・・・点数計算できるように得点計算室を設置しましたので、是非ご利用ください。
アルテより