数的処理

◆科目概要

 各種公務員試験における教養試験の一般知能分野で出題される、判断推理、数的推理、資料解釈ですが、これら3つをまとめて、数的処理ともいいます。

 まず判断推理ですが、論理と集合に関する問題、暗号やウソつき問題、空間図形に関する問題が出題される、クイズのような科目です。IQを要求される科目ですが、問題のパターンがある程度決まっているので、トレーニングさえ積めば数学色が強い数的推理よりも馴染みやすい科目かと思います。

 次に数的推理ですが、方程式や整数の問題、速さ・距離・時間の問題、また確立や平面図形に関する問題が出題され、これも数学をクイズ形式にしたような科目です。基本的に数学の知識で解けますが、短時間で解くためにはある程度のテクニックを習得する必要があります。文系出身で数学に拒否反応を示す受験生もいると思われますが、数的推理は「解法」を会得すれば数学的センスがなくとも解くことができるようになりますので、決して変な先入観は持たないように。

 最後に資料解釈ですが、要するに計算問題です。表やグラフから読み取れる数字を計算して、選択肢を絞るという科目です。時間さえあれば解けるので、要求されるのは慣れだけ。トレーニングをすれば、短時間で解けるようになります。

 どの公務員試験種でも、数的処理は全問必須解答です、出題数も半端ないので(16問程度)、捨てる選択肢はありません。避けては通れない超重要科目です。ところが、そんな超重要科目なのに、きちんと対策せずに試験に臨む受験生、またある程度勉強はしたけれども、試験で点が取れない受験生が毎年必ずいます。

 個人差はありますが、数的処理は自在に設問が解けるようになるまでに時間がかかる科目です。そして、間をあけてしまうと感覚が鈍りやすい科目でもあります。よって、勉強開始時期は早ければ早いほうがよいし、かつ本試験まで毎日演習を続けなければなりません。

 要するに、数的処理は公務員試験のなかでも最も勉強に負担がかかる科目の一つであり、それゆえに、本試験まで十分に勉強時間が確保できない受検生は、実力がつかないまま本試験に臨まざるを得ないのです。数的処理は、いわゆる「差がつく科目」なのです。

 数的処理は解法パターンさえ身につければ、あとは問題演習を数多くこなして応用力をつけることで、どんな問題にも対応できるようになります。といっても、試験本番では奇問・難問に手を出す必要はなく、落としてはいけない問題を確実に拾うというスタイルが、数的処理の攻略法です。とにかく数的処理は、地道に、継続的に対策した者が勝ちます。

 なお、数的処理のような科目が生まれつき得意で、無対策で試験に臨むような受験生がたまにいますが、フツーの人は真似をしないように。


◆お勧め参考書

○畑中敦子の判断推理 ザ・ベスト 改訂版(381ページ/KKベストセラーズ)


○畑中敦子の数的推理 ザ・ベスト 改訂版(359ページ/KKベストセラーズ)


○畑中敦子の資料解釈 ザ・ベスト 改訂版(272ページ/KKベストセラーズ)


 有名予備校LECの元人気講師によるシリーズものテキストで、通称「カンガルー本」。数的処理が苦手な受験生向けに書かれた講義口調の参考書兼問題集で、いくつもの数的処理対策本を出してきた著者本人が「一押し」と評する大卒程度数的処理対策本です。

 畑中敦子先生といえば、東京リーガルマインドから出ている「数的推理の大革命!」や「判断推理の新兵器!」などの大卒程度数的処理対策シリーズ、通称「ワニ本」が有名で、当サイトでも以前はそれらをお勧めテキストとして紹介しておりました。

 しかし、刊行されてから10年以上が経ち、改訂もないため、如何せん内容が古くなってしまいました。「ワニ本」の解法は今でも使えない訳ではありませんし、良書であることは変わりませんが、最新の出題傾向に対応しきれていない以上、全力でお勧めできるような本ではなくなってしまいました。

 そこで、現在のお勧め本として紹介する「畑中敦子のザ・ベストシリーズ」ですが、平成24年に改訂され、受験生によってはやや不親切と評されていた解法解説が見直されたことで、非常に完成度の高い大卒程度数的処理対策本となりました。

 掲載問題が公務員試験の最新の出題傾向に沿っている点はもちろん評価できるのですが、問題によっては解法を複数パターン提示したり、素早く解答するためのテクニックを紹介したりと、かゆい所に手が届く安心設計。学習意欲を沸かせる見やすいレイアウトも魅力です。数的処理は数学的知識を用いてゴリゴリ解くよりもテクニックを使うほうが圧倒的に早く解答できるような問題も出題されるため、理系出身者であってもこの類の本は是非使うべきです。

 収録されている過去問は良問ばかり。優しい問題も掲載されておりますが、大卒程度公務員試験用ということもあって、収録問題の難易度はやや高め。国家総合職レベルの問題も掲載されております。

 ただ、国家一般・地方上級レベルを考えれば本書レベルの問題集を潰すべきで、そういう意味でも、大卒程度公務員を目指す受検生は本書でしっかり演習を繰り返せば、かなりの得点力を身に付けることができるでしょう。国家一般・地方上級受験生は、回り道をせずこの本から数的処理対策を始めることをおすすめします。

 なお、『畑中敦子の天下無敵の数的処理!(1)判断推理・空間把握編』と同『(2)数的推理・資料解釈編』という、同シリーズのワンランク下(高卒程度公務員試験用)の数的処理対策本もあります。国家一般、地方上級レベルを受験するのであれば、明らかにレベルが足りませんが、試験まで時間があり、先に紹介した大卒程度用の本ではいまひとつ数的処理が理解できないという受験生は、この高卒程度用の本を先に使ってみる価値はあります。


◆学習指針

 例えば数的推理は、数学でゴリゴリ解こうと思えば解ける問題がほとんどですが、時間がかかります。よって、数的推理に限らず、もともと数的処理のような科目が得意な人であっても、「畑中敦子のザ・ベストシリーズ」(以下「カンガルー本」)により最速解法を確認することを推奨します。

 「カンガルー本」の使い方ですが、この本はあくまで解法パターンやテクニックを体に染み込ませるための本なので、1周目は設問を読んでちょっと考えてみてわからなかったら、すぐに解答を読むこと。「時間をかけてでも自力で解きたい!」という欲求に駆られる受験生も多いかと思われますが、まぁ落ち着け。時間の節約という意味でも、初見で詰まった問題はいつまでも考え込まないようにして、1周目はとにかく解法パターンを覚えることに集中します。

 なお、学習の際は、本を眺めているだけでは絶対に解けるようにならないので、常に手を動かしてノートや紙などに書きながら覚えるようにしましょう。

 2周目は覚えた解法を思い出しつつ自力で解くこと。ただ、パッと見て解法が思い浮かばないようならすぐ解答を見ましょう。とにかく解法を覚えないといけません。どの問題もほぼ完璧に自力で解けるようになった頃には、おおむね解法パターンを覚えているはずです。そうなれば数的対策の第1段階は合格です。というか、このまま本試験に突入しても、結構戦えるでしょう。以下は「数的処理を戦力にする」ための学習スタンスです。

 「カンガルー本」を極めた段階では、まだどんな問題にも対応できるような応用力が欠けている可能性があるので、さらなる問題演習を行うことで、応用力を鍛えます。「カンガルー本」により頭に詰め込んだ解法を、設問に応じて自由に頭から引き出して対応できるようになるまで、しっかりと問題演習をこなすことが必要不可欠です。

 そのためにも、本試験レベルの問題を数多くこなすことが重要で、そこで、「スー過去」の出番というわけです。ときには「カンガルー本」の解法が使えないような応用の利いた問題にぶち当たることもあり、それがいわゆる奇問難問の類であればまぁ無視してもよいのですが、それが得点すべきレベルの問題であればそれにも自在に対応できるよう、「スー過去」演習は非常に重要といえます。より柔軟な解き方、考え方を養うことが可能となります。

 「カンガルー本」により数的処理の解法をインプットし、「スー過去」によりアウトプットする。数的処理対策はこれで万全です。

 このアウトプットの段階では、きちんと時間を計り(1問3分が理想)、本試験のシミュレーションのつもりで真剣に問題に取り掛かるように。そして、数的処理は毎日学習することを忘れないでください。

 これだけやれば本試験でも数的処理で得点できないようなことはまずないでしょう。反対に、個人差はあれ、数的処理はこれぐらいやらないとなかなか本番で結果が出ないというのも事実です。ただ、本試験まであまり時間がない受験生で、どうしてもスー過去まで手がまわらないような場合は、「カンガルー本」を極めることに力を注いでください。

 学習初期は苦しむかもしれませんが、この科目も地道な学習の積み重ねが着実に結果に現れてきます。模試などで学習達成度を確認してモチベーションを維持しつつ、本試験まで毎日学習を継続しましょう。

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